不思議を科学する

不思議を科学する

ハンカチノキは白いハンカチで紫外線よけ

クリスマスのころになると園芸店の店先に並べられているポインセチア。上部の赤くなっているのは花ではなく、葉が変化したもので苞(ほう)と呼ばれています。形は下部の緑色の葉と同じです。アントシアニンという色素で赤く染まっています。虫や鳥をなど呼…

形より色で瞬時に判断する

人が物を見て、主に形と色でそれが何であるかを判断します。 トイレ表示の色分けでは、一般に男性を青、女性を赤とし、性別と色の印象を一致させています。広島国際大学の荒生弘史らは、図の4種類のトイレ表示を用いて、形で性別を判断する場合と色で性別を…

夜咲く花は白い

カラスウリは、朝顔のようにつるで周りの木などに絡みついて大きくなっていく植物です。夏になると、日没後一定の暗さになった時に花を咲かせます。おそらく明るさを精度よく感知するセンサを備えているのでしょう。花が咲いているのは一夜だけで、明け方に…

人種によって視力の上限に差はあるのか?

アフリカのある民族の視力がとても良いというのをテレビ番組で取り上げていました。人種や民族によって視力が異なるって、本当でしょうか。まず、視力の上限が何によって決まるのかについて見ていきましょう。 東京医療センターの野田徹によると、もしも眼球…

目の色によって色の見え方が異なる?

目の色と言っているのは虹彩(こうさい)の色です。虹彩は瞳孔の大きさを変え、目の中に入ってくる光の量を調節します。この虹彩の色は黒、茶、灰色、緑、青などがあり、人種などによって異なります。虹彩の色を決めるのはメラニン色素の量です。メラニンは…

分をわきまえるヤドリギ

ヤドリギは「宿り木」と書くことからも分かるように、地面には根を張らず、宿を借りるようにほかの樹木の枝や幹に寄生する植物です。寄生される方の植物のことを宿主と言います。ヤドリギの宿主はケヤキやエノキなどの落葉樹で、スギ、ヒノキなどの針葉樹に…

「目から得られる情報が8割」は本当?

「私たちが得ている外部からの情報のうち、8割は視覚からである」という言葉を私自身も何度か使ったことがあります。同じ意味合いの言葉を多くの人が自明なことのように使っています。でもこれって本当なのでしょうか? 研究論文などでも根拠となる引用文献…

触れ合いにより優しくなるコオロギ

SNSは顔が見えないだけでなく、匿名で自分の考えを発することができます。そのためか意見が過激になりやすく、誹謗中傷で特定の個人を攻撃することもしばしばです。攻撃された人は傷つき、ときには自殺にまで追い込まれたりすることもあります。 金沢工業大…

アリは必要とされることで長生きに

アリは社会性昆虫です。数えきれないほどのたくさんのアリが土の中に一つの巣で群れを成して生活しています。群れは、卵を産む1匹の女王アリと、同じ女王アリから生まれたおおくの働きアリで構成されています。働きアリはすべて雌、つまり姉妹です。卵や幼虫…

キリンの舌が黒いのはなぜ

キリンが棲んでいるのはアフリカのサバンナ地帯です。動物の中で最も背が高く、5メートルを超えるものもいます。このキリンの舌は黒色をしています。一般に哺乳類の舌はピンク色です。それは血管の中の血液の色が透けて見えているためです。 なぜキリンの舌…

スミレの花は紫?

色の名前を表す色名はたくさんあります。JIS(日本産業規格)で物体の表面の色を表す色名として規定されているのは、269色です 。たとえば、赤を表す色として、ばら色、からくれない、さんご色、紅梅色、紅色、紅赤、えんじ、茜色などが挙げられていますが、…

トンボの目は六角形でできている

自然界には六角形でできたものがたくさんあります。カメの甲羅、キリンの縞模様、雪の結晶など。 ハチの巣も六角形の穴が集まったものです。巣を作る働きバチは、それぞれ自分の部屋をできるだけ大きくしようと互いに押し合うことによって六角形になります。…

鳥居が朱色に塗られているのはなぜ

神社の入り口にある鳥居は、この先に神社があることを示すシンボルとなっています。国土地理院が発行する地図では、神社を示す記号は鳥居をかたどったものです。鳥居には門の役目もあり、俗世界と聖域との境界だともいわれています。 多くの鳥居が朱色に塗ら…

青信号は緑色で黄信号はオレンジ色

道路交通信号の色が赤、黄、緑(青)の3色になっているのは世界共通です。交通信号の色は、ばらつきがあり正確に合わせることが難しいことから、範囲を決めて規定されています。それぞれの色の範囲を国際標準として規定しているのは国際照明委員会(CIE…

黒い岩石が風化して土になるとなぜ茶色になるのか

地球表面の地殻をつくっている岩石の多くは、地球内部のマグマが地表に噴出したり、地下で冷えて固まったりしてできた火成岩です。火成岩には玄武岩、花こう岩、安山岩があり、玄武岩は黒色で、花こう岩と安山岩は灰色をしています。 風化は、岩石が風や水な…

ドングリの実が熟しても赤く色づかないわけ

「ドングリ」という名前の植物はありません。ドングリはクヌギ、コナラなどのブナ科の植物の果実の俗称です。果皮と呼ばれている堅い殻で中の種子が守られています。 ドングリは、熟していないときは葉緑素があり、緑色です。熟してくると葉緑素は壊れ、茶色…

緑色なのに黒板?

学校で使われている黒板は一般に暗い緑色(ダークグリーン)です。子供の時から黒板と呼ばれていたので特に疑問を持ちませんでしたが、言われてみると不思議な気がします。 黒板がアメリカから日本に持ち込まれたのは、学校制度がスタートした明治初期の1872…

郵便ポストはピンク色でもいいの?

JR山手線の駒込駅の北口にある郵便ポストは、ピンク色(桜色)です。駒込駅の駅メロ(発車メロディ)もサクラサクで、駅前の交番の屋根もピンク色といった徹底ぶりです。 ソメイヨシノというサクラの品種は、日本で最も多く栽培されており、単にサクラという…

火山が噴火すると夕焼けが赤くなる

画家ムンクの代表作である『叫び』は、背景となる燃えるように赤く染まった空が印象的です。この絵を最初に見たとき、人物がほほに手を当て叫んでいる様子を描いたものかと思いました。そうではなく自然の叫びに対して耳をふさいでるとの説明は、意外でした…

炎天下で黒い服はどのくらい暑くなる

近年、最高気温が35度を超える猛暑日が増えてきました。夏になると、「熱中症に気を付けましょう」と、ニュースなどで盛んに注意喚起がなされています。 白色に比べて黒色は熱を吸収しやすく、温度が上昇しやすいと言われています。JAF(日本自動車連盟)は…

なぜヨーロッパの瓦は赤く日本の瓦は黒いのか

宮崎駿監督のアニメ映画『魔女の宅急便』で、主人公キキが住むようになったコリコの町の家々は、白い壁と赤い屋根が印象的です。海に臨む丘の上に立つ家の赤い屋根瓦は、温暖で光あふれる気候に合った明るくエキゾチックな雰囲気を醸した出しています。 日本…

2億年前のジュラ紀は色に乏しい世界 -美しい花も紅葉もない-

2億年前、恐竜が栄えていたジュラ紀(2億年前~1億4千500万年前)が始まるころに地上を覆っていたのは、裸子植物でした。裸子植物は、現在のイチョウやソテツの仲間で、受粉後に種子になる胚珠がむき出しになっています。裸子植物の花は風で花粉を運ぶ風…

ネコやイヌはなぜ色の識別が十分にできないのか

眼球の奥の網膜には光を感じ取る視細胞とういう細胞がたくさんあります。視細胞は2種類あり、桿体(かんたい)と錐体(すいたい)です。 桿体は弱い光にも反応する感度の高い細胞です。日没後の薄暗い中、月明りや星明りなどの暗い中で物を見るときに働きま…

目と耳の意外な共通点(その2)―波長が短いと冷たく感じ、長いと暖かく感じる―

音は音波と言われるように波で、光もまた波の性質を持っています。 波は山と谷が交互に繰り返られますが、山と次の山までの長さが波長です。光は波長の短い方から青、緑、黄、赤と色が徐々にそして連続的に変化していきます。一方、音は波長が短い(周波数が…

カバの赤い汗は蚊よけ

私たちは暑い時に体温を下げるために汗をかくことを当たり前のように思っていますが、汗をかく動物は意外と少ないのです。身の回りの動物で汗をかくのはウマやウシなどです。イヌは汗をかくことができないので、口を開けて熱を逃がし体温を下げています。ゾ…

ハチの駆除は白い服を着て

ハチの駆除は白い服を着て アシナガバチは蓮の実の形をした小規模な巣を軒下や木の枝に作ります。子供のころ巣をとって遊んでいました。アシナガバチは比較的おとなしい性格です。ミツバチには何度か刺されましたが、アシナガバチに刺された記憶はありません…

月の空は昼間でも黒い

月の空は昼間でも黒い 地球が1回自転するのにかかる時間がちょうど一日の24時間だと思っている人もいるかもしれませんが、そうではありません。地球は自転しながら太陽の周りを公転しているので、その分だけ余計に自転しなければ一日にならないのです。1…

赤い魚は深い海に棲む

赤い魚は深い海に棲む 浅い海は明るく水温も高いので、エサとなるプランクトンも豊富で、魚たちにとっては住みやすい環境です。ただし、多くの魚が同じ場所に棲み、競争も熾烈です。さらに捕食者は水中にいる大型の魚だけでなく、上空から鳥も襲ってきます。…

歳をとるとなぜ髪は白くなるのか

歳をとるとなぜ髪は白くなるのか 歳をとるとともに白髪が増えていきます。白髪が目立ち始める歳や白髪の量には個人差が大きく、主に遺伝によると言われています。では若い時には黒かった髪が年を取るとなぜ白くなるのでしょうか。 その前に、ミー散乱につい…

生まれたばかりの赤ちゃんは色が見えない

生まれたばかりの赤ちゃんは色が見えない わたしは生まれてから2歳になるまでの記憶がありません。おそらく3歳くらいのだと思いますが、家の中の風景や両親の話す声をかすかに思い出すことができます。そのころにはすでに目が見え、耳が聞こえていたのでし…