不思議を科学する

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郵便ポストはピンク色でもいいの?

 JR山手線の駒込駅の北口にある郵便ポストは、ピンク色(桜色)です。駒込駅の駅メロ(発車メロディ)もサクラサクで、駅前の交番の屋根もピンク色といった徹底ぶりです。

 ソメイヨシノというサクラの品種は、日本で最も多く栽培されており、単にサクラというとソメイヨシノを指すほどです。駒込はこのソメイヨシノの発祥の地とされていて、その関係でポストがピンク色に塗られているのだろうと想像されます。ソメイヨシノのソメイは駒込にある染井という地名に由来しています。

 郵便ポストの色と言ったら赤(朱色)ですが、ピンク色でも問題はないのか気になります。調べてみましたが、どうやらポストの色を赤にしなければいけないという決まりはないようです。速達専用には青色ポストが設置されているし、日本全国には黄色、緑色、灰色などのポストもあります。

 国によってもポストの色はさまざまです。イギリスやかつてイギリスの植民地だったオーストラリア、インドなどは赤色。ヨーロッパの多くの国は黄色、アメリカやロシアは青、中国とアイルランドは緑です。

 ではなぜ日本の郵便ポストの多くが赤色に塗られるようになったのでしょうか。

 ポストの歴史を簡単に振り返ってみましょう。日本で郵便制度が始まった翌年の1982に作られたポストは黒色でした。初めて赤色のポストが使われたのが1901年で鉄製の丸型でです。丸い形は1949年に終わり、現在の角型に変わりました。しかし何度も色が塗りなおされた丸形の赤いポストは今でも一部残っており、昭和のレトロな雰囲気が人々に親しまれています。

 郵政博物館の資料によると、『ポストを「赤色」に塗ったのはポストの位置をわかりやすくするためでした』と、書かれています。つまりよく目立ち、見つけやすくするために赤色にしたということになります。郵便制度を導入したイギリスのポストが赤色だということも関係しているかもしれません。

 インターネットの普及に伴い、手紙やはがきはなどの郵便物の配達数は年々減り続けています。それに伴いポストの数も減ってきました。昔あったところにポストがなくなっていて、探すこともしばしば。そんなとき、赤色のポストは目立ちやすいので助かります。中国のように緑色だったら、木々や草の色に紛れて見つけるのに苦労するのではないかと、よその国ながら心配になります。

 

参考文献

郵政博物館、郵便ポストの移り変わり 〜日本最初のポストから現在のポストまで〜