不思議を科学する

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青信号は緑色で黄信号はオレンジ色

 道路交通信号の色が赤、黄、緑(青)の3色になっているのは世界共通です。交通信号の色は、ばらつきがあり正確に合わせることが難しいことから、範囲を決めて規定されています。それぞれの色の範囲を国際標準として規定しているのは国際照明委員会(CIE)です。日本でも交通信号の色は、国際照明委員会の国際標準を参考にした色の範囲が用いられています。

 信号灯の色の範囲を規定している日本工業規格のJIS Z9103が2018年に改正されました。それによると青信号の色の範囲は、大部分が緑で、若干の青緑色を含みます。日本に交通信号機が導入されたのは1930年です。そのころ青信号は法令で緑信号と記されていました。しかし、青信号という呼び方のほうが広まり、1947年に法令においても青信号という呼び方に変更されました。

 色弱者には赤、オレンジ、黄、(黄緑よりの)緑の識別が困難です。日本では、色弱者が青信号と赤信号や黄信号とを識別しやすいように、青信号は青みがかった(青緑よりの)緑が使われています。また、赤信号と黄信号を明るさの差によって識別できるように、黄の光の強さを赤の1.5倍以上になるように決められています。

 青信号の呼び名と実際の色である緑が一致していないことは広く知られていることですが、黄信号の呼び名と色が一致していないことはあまり知られていません。黄色信号の色は、すべてオレンジ(黄赤)の色名で呼ばれる色の範囲内なのです。なぜ黄信号の色が黄でないか、その理由ははっきりしません。

 海外では黄信号の色の名前を実際の色に合わせている国もあります。いくつかの国ではオレンジと呼ばれていますし、イギリスではアンバー(amber、琥珀色)と呼ばれるのが一般的です。

 赤信号の色はすべて赤の色名で呼ばれる色の範囲内で、3色の中で唯一呼び名と実際の色が一致しています。

 日本は島国なので直接外国と自動車での行き来がないので、道路交通信号について多少ルールが違っていても問題になることはあまりありません。しかし、航空に関しては直接外国との往来があるのでそうはいきません。日本の空港の滑走路や誘導路(滑走路と駐機場を結ぶ通路)に使われている灯火の色は白、赤、黄、緑、青の5色ですが、いずれも国際基準で規定された色が用いられています。

 

参考文献

交通信号博物館、信号機の豆知識、https://signal-net.sakura.ne.jp/sig_all_q4.htm (2024.1.19アクセス)

JIS Z 9103:2018(図記号-安全色及び安全標識-安全色の色度座標の範囲及び測定方法)