不思議を科学する

不思議を科学する

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

昼の月が白いのはなぜ

日本では古くからお月見の習慣があり、桜と並んで月は短歌や俳句に読まれてきました。日没と同時に東の地平線から上って来る満月は、太陽光よりは少し黄色味がかっていて、ほどよい明るさが落ち着いた印象を与えます。それが日本人に好まれてきた理由なので…

北極星を見れば緯度が分かる

北半球では、夜、北の空を見ると、星々が時間とともに反時計回りに動いて見えます。その回転の中心にあるのは北極星です。したがって北極星はいつ見ても真北の方向で輝いています。北極星は2等星と比較的明るいこともあって、北斗七星などを手がかりに容易に…

生活に役立つ錯視

「これどっちが長く見える」。子供の頃、友達が見せにきた図には、線分の両端に内向きの矢羽を付けたものと外向きの矢羽を付けたものとが描かれていました。明らかに外向きの矢羽を付けたものが長く見えたが、実際は同じ長さ。これが錯視図を見た最初の経験…

虹は七色(なないろ)ではない

雨が上がり晴れると虹が出ることがあります。太陽がやや低い位置にあるときが出やすいようです。条件がいいと虹(主虹)の外側には副虹が現れることがありますが、めったに見ることはできません。現れたとしても色が薄くてぼんやりとしているので見逃すこと…

昔の灯は今の灯の100分の1よりは暗かった

昔日本で使われていた行灯(あんどん)や和ろうそくの光は現在家庭などで使われている白熱電球やLED電球に比べ、とても弱いものでした。小山恵美氏によると、行灯を30センチメートルの高さに置き、そこから30センチメートル離れた地点での照度は1 ルクスを下…

鳥の目は「鳥の目」ではない

「鳥の目」とは、高い位置から俯瞰的に全体を見ることを指す言葉です。細かいところにこだわるのではなく、広い視野を持つことの重要性を示唆しています。 しかし、実際の鳥の目は、どうも「鳥の目」ではないようです。 頻繁に発生するバードストライクが社…

1本の梅の木に2色の花が咲くのはなぜ

団地の中の小さな公園に赤い梅と白い梅の花が咲いていました。近づいてしばらく眺めていて、不思議なことに気づきました。花の色は2種類なのに幹は1本しかないのです。赤い花と白い花は同じ梅の木が咲かせていたのです。てっきり赤い花を咲かせる梅の木と白…

暗いと話がはずむ

視覚心理の実験では、暗い中で実験を行う場合があります。暗い所に目が慣れるまで電気を消してから10~15分待ってから実験を始めます。それまで被験者と二人で真っ暗な中で待つことになりますが、意外とこの時に話がはずむことが多いのです。暗さが話し…

虫の目は「虫の目」ではない

「鳥の目」、「虫の目」、「魚の目」に例えて、三つの視点を持つことが、仕事をするうえでも生きていく上でも重要だと言われることがあります。 三つの視点の中でも最もよく使われる「鳥の目」は、鳥が上空から広い範囲を見ていることから、全体を俯瞰的に見…

人はなぜ闇を恐れ、火を心地よく感じるのか

最後に停電を経験したのはいつだったか思い出すことができません。おそらく二十年以上も前だったと思います。最近は停電することがめったにありませんが、私が子供の頃はよく停電をしました。台風の襲撃を受けるとたびたび停電が起きていました。すぐに復旧…

魚の目は「魚の目」ではない

「魚の目」は「流 れ」を感じ取れることから、時代の変化をとらえて先を読む視点を持つことの例えとして用いられます。しかし、魚の目は流れを感じ取ることができません。流れを捉えているのは目ではなく、体の側面にある側線器官です。この側線器官を特に発…

ホタルの光が人を引きつける理由

テレビの番組で自然や里山を扱ったものをよく見ます。最近、里山の棚田の良さが見直されているようです。耕作されずに荒れていた棚田が再び手入れされ、昔の姿によみがえっているところがあります。ひとつひとつ段差のある小さな田では機械が使いにくく、お…

フンコロガシは星を見て進む

動物が食べた餌のうち消化吸収されるのは20~80%です。残りの80~20%は消化されずに糞として排出されます。動物の糞にはまだまだ栄養分がたくさん含まれています。この動物の糞を食べ、分解してくれるのはミミズ、ハエ、甲虫などです。これらのお…

なぜマグロの身は赤くタイの身は白いのか

骨格を持つ動物の筋肉は、骨格筋と内臓筋に大別されます。骨格筋は骨格についていて,身体を支え動かす筋肉で、さらに遅筋と速筋に分けることができます。赤く見えるため赤筋とも呼ばれるのが遅筋で、白っぽく見えるため白筋とも呼ばれるのが速筋です。 遅筋…

半月の明るさは満月の半分ではない

満月は深夜になると南の空高くに上ります。そのとき月に照らされる地表の明るさはおよそ0.2ルクスです。人の視力は明るい所では1.0付近で、細かいものまでよく見えます。暗くなるにしたがって見えにくくなり、満月の明るさである0.2ルクスになると視力も0.2…

遠くの灯が付いてこないのに月が付いてくるわけ

子供がまだ幼稚園生くらいだったころ、ドライブをしている車の窓から月が見えていました。子供が月を見ながら「月が付いてくる」と不思議そうに言ったのを覚えています。車が止まれば月も止まり、車が動き出せば月も動き出すように見えたのでしょう。 南の空…