不思議を科学する

不思議を科学する

トナカイは季節によって目の色が変わる

サンタクロースが乗るそりを曳く動物として知られているトナカイ。このトナカイの目には独特な特徴が二つあります。 一つは、季節ごとに目の色が変わることです。夏は黄金色ですが、冬になると青色になります。 目の色が変わる理由は、タペタムです。夜行性…

蛾の目はわずかな光も逃さない

物体の表面に白い光が当たると、その一部は反射し、それが見ている人の目に届くと、物体の色が見えます。当たった光に対して反射してくる光の割合が反射率です。反射率が高いと明るい色に、反射率が低いと暗い色に見ます。反射率が100パーセントに近くな…

アシカの目は丸くない

水に潜って目を開けるとまわりがぼんやりとしてよく見えません。どうして水中でははっきり見えないのでしょうか。 目に届いた光は水晶体だけで屈折して、像を網膜に結んでいるのではありません。3分の2は角膜で屈折し、水晶体で屈折しているのは残りの3分の…

三葉虫の視力

形の分かる目を持った動物が最初に現れたのは、約5億年前のカンブリア紀。そのなかでも最も古い動物の一つが節足動物の三葉虫です。三葉虫は、ダンゴムシやカブトガニのような形をしています。体長は種によりさまざまで、小さいものでは1センチに満たないも…

ハトやニワトリが歩くとき頭を振るのはなぜ

ハトやニワトリの歩き方は独特で、頭を前後に動かしながら歩きます。なぜ歩くときにわざわざ頭を振るのでしょうか。一見無駄な動作のようにも見えます。 ハトやニワトリが歩くところを動画にとって調べてみるとわかるのですが、胴体が前に動くとき、頭は地面…

薄暗くなると細かなものが見えにくくなるのはなぜ

日が落ち暗くなっていくと、それにしたがって見えにくくなります。明るい所で視力が1.0の人でも、薄暗くなると0.1になり、さらに暗くなると0.01と視力が悪くなります。このように暗くなるにしたがって視力が低下してものが見えにくくなります。 目は光によっ…

ミズスマシは4つの目で水上と水中を監視

水面を滑るようにくるくると回っているミズスマシ。ミズスマシの大きさは種類によって異なりますが、体長7ミリメートル前後の黒い色をした水生昆虫です。昔は池や沼のよく見かけましたが、最近数を減らしており、絶滅危惧種になっています。 ミズスマシが棲…

アイブラックは本当に効果があるのか?

アメリカンフットボールや野球の選手がまぶしさを防ぐために目の下に黒いラインを塗ったり、黒いテープを貼ったりしているのを見かけます。アイブラックと呼ばれるのがこの黒いラインやテープです。 太陽光や夜の照明光が頬に反射して目に入るとボールが見え…

目の位置で狩りの方法が分かる

多くの動物の眼は、頭の正面か側面についています。 他の動物を餌とする動物を捕食動物と呼び、捕食動物の餌となる動物を被食動物と呼んでいます。目が頭の正面についているのはライオンのような捕食動物です。目が正面についていると二つの眼の視野が重なり…

反応時間とバッティング

光や音などの刺激に対して反応するまでの時間を反応時間と言います。反応時間にはいくつか種類があり、代表的なものに単純反応時間と選択反応時間があります。 単純反応時間は、例えば、光が見えたらできるだけ早くボタンを押すというようなもので、1種類の…

形より色で瞬時に判断する

人が物を見て、主に形と色でそれが何であるかを判断します。 トイレ表示の色分けでは、一般に男性を青、女性を赤とし、性別と色の印象を一致させています。広島国際大学の荒生弘史らは、図の4種類のトイレ表示を用いて、形で性別を判断する場合と色で性別を…

人種によって視力の上限に差はあるのか?

アフリカのある民族の視力がとても良いというのをテレビ番組で取り上げていました。人種や民族によって視力が異なるって、本当でしょうか。まず、視力の上限が何によって決まるのかについて見ていきましょう。 東京医療センターの野田徹によると、もしも眼球…

目の色によって色の見え方が異なる?

目の色と言っているのは虹彩(こうさい)の色です。虹彩は瞳孔の大きさを変え、目の中に入ってくる光の量を調節します。この虹彩の色は黒、茶、灰色、緑、青などがあり、人種などによって異なります。虹彩の色を決めるのはメラニン色素の量です。メラニンは…

「目から得られる情報が8割」は本当?

「私たちが得ている外部からの情報のうち、8割は視覚からである」という言葉を私自身も何度か使ったことがあります。同じ意味合いの言葉を多くの人が自明なことのように使っています。でもこれって本当なのでしょうか? 研究論文などでも根拠となる引用文献…

トンボの目は六角形でできている

自然界には六角形でできたものがたくさんあります。カメの甲羅、キリンの縞模様、雪の結晶など。 ハチの巣も六角形の穴が集まったものです。巣を作る働きバチは、それぞれ自分の部屋をできるだけ大きくしようと互いに押し合うことによって六角形になります。…

緑色なのに黒板?

学校で使われている黒板は一般に暗い緑色(ダークグリーン)です。子供の時から黒板と呼ばれていたので特に疑問を持ちませんでしたが、言われてみると不思議な気がします。 黒板がアメリカから日本に持ち込まれたのは、学校制度がスタートした明治初期の1872…

ネコやイヌはなぜ色の識別が十分にできないのか

眼球の奥の網膜には光を感じ取る視細胞とういう細胞がたくさんあります。視細胞は2種類あり、桿体(かんたい)と錐体(すいたい)です。 桿体は弱い光にも反応する感度の高い細胞です。日没後の薄暗い中、月明りや星明りなどの暗い中で物を見るときに働きま…

目と耳の意外な共通点(その2)―波長が短いと冷たく感じ、長いと暖かく感じる―

音は音波と言われるように波で、光もまた波の性質を持っています。 波は山と谷が交互に繰り返られますが、山と次の山までの長さが波長です。光は波長の短い方から青、緑、黄、赤と色が徐々にそして連続的に変化していきます。一方、音は波長が短い(周波数が…

生まれたばかりの赤ちゃんは色が見えない

生まれたばかりの赤ちゃんは色が見えない わたしは生まれてから2歳になるまでの記憶がありません。おそらく3歳くらいのだと思いますが、家の中の風景や両親の話す声をかすかに思い出すことができます。そのころにはすでに目が見え、耳が聞こえていたのでし…

黒い果実は目立たない?

黒い果実は目立たない? 植物がその近くに種子を落としていたのでは分布を広げることはできません。また、種子が芽吹いても親の近くは病害虫も発生しやすいし、樹木では親木と光や養分を争うことになります。成長し、子孫を増やすためには、種子を離れたとこ…

昆虫の複眼を構成する個眼の数と動く速さの関係

昆虫の複眼を構成する個眼の数と動く速さの関係 自然界では、高度な目があればエサとなる動物を容易に見つけて捕らえることができます。また食べられる方の動物も敵をいち早く見つけて逃げることができます。しかし、速く動けない動物が目を発達させてもその…

なぜ紫外線は見えないのか

なぜ紫外線は見えないのか 地上に降り注ぐ太陽光には、人の目に見える可視光以外に、可視光より波長の短い紫外線や波長の長い赤外線などが含まれています。太陽光のおよそ6%は紫外線です。人の目には紫外線は見えませんが、紫外線が見える動物はたくさんい…

ドレスの色の見え方は色恒常性のせい?

ドレスの色の見え方は色恒常性のせい? 昼間の太陽の光で照らされた白い紙は白く見えます。これはいろんな色の光を含んだ太陽光が紙の表面に当たり、当たった光のほとんどすべてが反射して見ている人の目に届くからです。 夕方の黄色い太陽の光で照らされた…

目と耳の意外な共通点(その1) ―歳をとると波長の短いものがわからなくなる―

光は電波と同じ電磁波の一種であり、音は空気の振動です。つまり光も音も波ですが、光の伝わる速度が音に比べ桁違いな速いなど、それらの性質は大きく異なっています。 光の波長は380ナノメートル~780ナノメートル。ナノメートルは1メートルの10億分の1で…

カワセミが魚を捉えるとき光の屈折を補正している

カワセミは全長17センチメートルくらい鳥で、羽根は鮮やかな金属光沢をしたヒスイのような青い色しています。この青い色は色素によるものではなく、構造色と言われ、毛にある微細構造により現われる色です。タマムシの光沢のある緑色も構造色によるもので…

視力の悪いテントウムシが餌である小さな虫を見つけることができるわけ

ヤナギルリハムシは黒い色をした体長約4ミリメートルの昆虫です。幼虫も成虫もヤナギの葉を好んで食べます。 このヤナギルリハムシの幼虫をエサとしているのがカメノコテントウです。カメノコテントウは、日本にいるテントウムシで最大級の大きさで、約1セ…

見えるか見えないかの境界

音には聞こえるかどうかの境界があり、匂いも感じ取ることができるかどうかの境界があります。小さな音は聞こえませんが、十分に大きな音は聞こえます。弱い匂いは感じられませんが、強い匂いは感じ取ることができます。 聞こえないほど小さな音を少しずつ大…

花がいい香りを出すのは虫の目が悪いから

植物がきれいな色の花を咲かせているのは、もちろん人を喜ばすためではありません。蜜を求めて来る昆虫に花を見つけてもらい、受粉の手助けをしてもらうためです。しかし残念なことに昆虫は目が悪く、遠くに咲いている花を見つけることができなません。 昆虫…

虫はなぜ電灯の周りをくるくる回るのか

夜、郊外の電灯の周り虫がくるくる回っているのを見かけます。電灯の下には光源に当たって落ちたと思われる虫がたくさんいます。あまり知られていないことですが、夏の夜に山間部の街灯の下を探すのがカブトムシを手っ取り早く捕る方法の一つです。 動物が光…

地平線近くの月は大きく見える

月と太陽はほぼ同じ大きさに見えます。実際は太陽の方が月より400倍大きいのですが、地球からの距離が、太陽が月に比べて400倍遠いのでほぼ同じ大きさに見えます。これはまったくの偶然と考えられますが、何か不思議な気がします。 では、月や太陽の見かけの…