不思議を科学する

不思議を科学する

なぜスキー場は紫外線が強いのか

 3月や4月の晴れた日に2、3日スキーをするとゴーグルの後がはっきり分かるほど日焼けをします。春スキーをするとなぜこんなにまで日焼けしやすいのでしょうか。

 太陽光には紫外線が含まれていて、波長の長さによりUVA、UVB、UVCに分けられています。最も波長の短くて危険なUVCは大気に遮られてほとんど地上には届きません。一番波長の長いUVAはもっともたくさん地上に降り注いでいます。皮膚の奥まで浸透し、シミやソバカスの原因になります。日焼けの原因になるのはUVBです。

 紫外線が地上に届くとその一部が反射します。その反射量は当たるものによって異なり、土やアスファルトは10%以下ですが、雪の場合は約80%にもなります。スキー場では直接顔に当たる紫外線だけでなく、雪で反射した紫外線がたくさん顔に当たっているのです。また、標高が高くなるほど紫外線の量は増え、1000m高くなると紫外線量が10%多くなります。さらに空気が澄んでいると紫外線量が多くなります。そしてスキー場は太陽の光を遮るものがあまりありません。これらのことにより都会に比べて何倍もの紫外線をスキー場では浴びることになります。

 太陽高度が高くなると紫外線量が増えます。すなわち冬より太陽高度の高い春は紫外線が強いのです。日焼けの基となるUVBの量は、3月は1月の約2倍、4月は3倍にもなります。

 これらのことにより、春の晴れた日にスキーをすると思いのほか日焼けをすることになるのです。また、可視光と違って曇りの日でも紫外線の量はあまり減りません。油断せず、しっかりと紫外線対策をすることが大切です。