不思議を科学する

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三原色の光を混ぜてもすべての色の光を作ることはできない

三原色の光を混ぜてもすべての色の光を作ることはできない

 

 光の三原色は、赤、緑、青です。黄は光の三原色には含まれません。異なる色の光を混ぜることを混色といいます。三原色の光を混色するとすべての色の光を作り出せると言われることがありますが、それは本当でしょうか。

 図1は色度図と呼ばれるもので、ここでは詳しい説明は省略しますが、すべての光の色を平面上に配置したものです。図1はイメージしやすいように色を付けていますが、実際の色をもっと鮮やかです。図1(a)を使って混色によってできる色について説明します。

 図1(a)のA点が示す赤い光とB点が示す緑の光を混色するとABの線上の色の光になります。混ぜる割合によってA点に近い色になったり、B点に近い色になったりします。たとえば、赤の割合が大きいとオレンジ色で、緑の色の割合が大きいと淡い黄緑色です。同じように、B点が示す緑の光とC点が示す青い光を混色するとBCの線上の色の光になり、C点が示す青い光とA点が示す赤い光を混色するとCAの線上の色の光になります。

 そして、A点が示す赤い光とB点が示す緑の光とC点が示す青い光、すなわち三つの色の光を混色すると、三角形ABCの内側の色の光になります。三つの色の光の混ぜ合わせる割合によって、三角形の内側のどの位置の色になるかが決まるのです。うまく混ぜ合わせることによって、図1(a)の中央付近の白い光も作ることができます。ただし、三角形の外側の色の光を作ることができません。例えば鮮やかな黄色や黄緑色はできません。

 それなら図1(b)のように、混ぜ合わせる緑のB点を図の上の方の緑にするとどうでしょうか。そうすると鮮やかな黄色や黄緑色の大部分は三角形の内側になるので、混色により作ることはできます。しかし、今度は鮮やかな青緑色の光が三角形の外側にきてしまい、この色の光を作ることはできません。

 三つの原色の光を図中のどの点の色にしても、それらが作る三角形の外側にきてしまう色の領域ができてしまいます。すなわち三原色の光を混色しても作ることができない色の光が生じてしまうのです。

 テレビやスマホの画面の色も三つの光の色を混色することによって作っているので、表示できない色があります。実際上は、表示できない色があっても、代わりにそれに近い色を表示すことによりほとんど違和感なく見えます。

 

  (a)

 

  (b)

図1 色度図

三つの原色の光を混色することによって作ることができる光の色は、

図中の3点を結ぶ三角形の線状および内側です。