不思議を科学する

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LEDはいいことばかりではない

 21世紀になって、LEDが一般の照明光源の他、イルミネーション、信号の光源などに広く使われるようになりまし。省エネで長寿命であるだけでなく、小型でデザイン性にも優れています。さらに水銀を使っていないので環境に対しても好ましい光源です。

 このようにLEDには良い点が多く、それらについては広く知られているところです。しかしLED光源に問題がないわけではありません。それはLEDそのものに問題があるというよりは、使い方に問題があるのです。

 

まぶしい光の増加

 LEDは従来の光源に比べて発光部分が小さくなっています。光の量が同じであっても、発光部分が小さいとまぶしさを感じやすいという特性があります。小さな光を直接見せるのではなく、拡散版を使って光っている部分を大きくするとまぶしさは和らぎます。

 また、光源が小型になったことにより、設置場所を自由に選べるようになりました。樹木などを下から照らすライトアップが増えています。その光源が近くを歩いているときに目に入りまぶしく感じることがよくあります。人の眼は視線から上の光はまぶしく感じにくいのですが、下からの光はまぶしく感じやすいという特性があります。光を低い位置に設置する場合は、人の眼に光が入り込まないように光の向きに注意する必要があります。

 

明滅する光の増加

 白熱電球が光源に使われている道路信号が明滅する場合は、瞬時に点いたり消えたりしません。点くときはジワーッと点いて、消えるときもジワーッと消えていきます。ところがLEDが光源に使われていると、瞬時に点いたり消えたりします。この方がよく目立ち、信号としては機能的に優れていることになります。

 自動車がブレーキを踏んだことを後続車に伝え、追突事故を防ぐために赤色のストップライトが点灯します。LED光源がストップライトに使われていると瞬時に明るくなるのでよく目立ち、ブレーキを踏んだのが分かりやすくなりました。このように点滅するライトにLEDが使われているとメリットがあります。

 最近は、店の看板や自転車のライトにLEDが使われるようになり、その中で明滅するものがあります。人の眼を引きやすいので、点けている人にとっては都合がいいのでしょう。しかし、目立ちやすいことは、同時に見ている人にとってわずらわしさを増すことになります。また、落ち着いた街の景観を壊すことにもなります。必要以上に明滅光を使うべきではありません。

 

色光の増加

 LED光源を使うことにより、簡単にイルミネーションができるようになりました。クリスマスのシーズンになると木などにイルミネーションが施されているのをあちこちで見かけます。

L EDは色が鮮やかで、特に青色を明るく灯すことができます。白熱電球で色光を作るときは、色フィルターを使っていたために光が弱くなっていました。LEDはフィルターを使わずに直接色光を発光することができるので、強い光を出すことができます。

 これにより、イルミネーションが今まで以上に華やかにできるようになりました。ただ、色光を使いすぎると華やかさは出せるのですが、街の落ち着いた雰囲気を壊すことになります。特に住宅街では派手な色は好まれませんし、明る過ぎるのも時には問題となります。夜には適度の暗さが必要です。

 

参考文献

入倉、手術をする外科医はなぜ白衣を着ないのか?、日経BP(2022)