不思議を科学する

不思議を科学する

ロウソクの炎がオレンジ色なのにガスコンロの炎が青いのはなぜ

ロウソクの炎がオレンジ色なのにガスコンロの炎が青いのはなぜ

 

 ガスコンロの炎は寒色である青色のせいであまり熱そうな気がしませんが、オレンジ色をしているロウソクの炎より温度は高く、約1800℃です。ロウソクは温度の高い炎の外側で1400℃くらいです。燃焼温度が異なるとはいえ、同じ炎なのにロウソクとガスコンロの色はなぜこんなにも違うのでしょうか。

 焚火やロウソクは主に熱放射によって発光しています。物質が熱せられると物質を構成する原子や分子が激しく振動します。この振動によって光が放出されることを熱放射と呼びます。例えば、鉄を熱すると赤く光りだし、さらに熱すると黄色く強く光りだしますが、これも熱放射による発光です。

 焚火やロウソクが燃えているとき、炎の外側にある空気の中の酸素を使って燃えますが、酸素の供給が十分ではなく、不完全燃焼が起きています。そのため炎の中にはスス(炭素)含まれており、これが熱せられて熱放射により光を発します。

 白熱電球タングステンという金属でできているフィラメントに電流を流し、約2600℃の高温にします。熱せられたフィラメントが発光するのも熱放射によってです。フィラメントの温度はロウソクの炎の温度よりも高いので、白熱電球の光の色は黄色くなります。

 ガスコンロはあらかじめガスに空気を混ぜた後、燃焼させています。そのため燃焼速度が速く、完全燃焼しススを出ません。そして燃焼によって作り出された物質が励起されて発光します。励起とは原子や分子の中の電子が高いエネルギーを持つことです。高温に熱せられると原子や分子は励起されます。励起された状態は不安定なので、そのエネルギーはすぐに光として放出されます。放出するエネルギーの大きさは物質によって決まっており、それぞれ特定の色の光を発します。

 ガスコンロの炎の色が青い時は、ガスが完全燃焼しているときです。何らかの理由で空気が十分に混合されなくなると不完全燃焼が起き、ススが発生します。そのススは熱せられて熱放射をするので、炎がオレンジ色に変わります。

 花火も励起によるものです。炎の中に金属の粉や金属の化合物を入れると、励起された金属が色光を発します。これを炎色反応と呼んでいます。花火に使われているのは、赤がストロンチウム化合物(硝酸ストロンチウム)、緑がバリウム化合物(硝酸バリウム)、青が銅化合物(硝酸銅)、黄がナトリウム化合物(硝酸ナトリウム)などです。