不思議を科学する

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灯台のひかり方はそれぞれ違う

 海岸線をドライブしていて岬の小高いところに白い灯台を見つけると、立ち寄ってみたくなります。そこは広い海を遠くまで見渡すことができる眺めのいい場所と決まっているからです。そうでなければ灯台の役目を果たすことができないわけです。

 灯台は夜には点灯されますが、昼間は消灯されます。しかし、船は昼間も灯台を目標にするので、よく見えるように白く塗装されています。ただし、雪が積もる地域や小さな島などでは、白一色では目立たないので、赤と白などの二色に塗り分けられているものもあります。

 灯台というと木下惠介監督の映画「喜びも悲しみも幾歳月」を思いだします。僻地の灯台を転々としながら夫婦で灯台のあかりを守る灯台守の物語は、多くの人の感動を呼び、大ヒットとなりました。

 そんな灯台も時代とともに自動化が進み、2006年には日本のすべての灯台無人化されました。さらにGPSが使われるようになり、灯台そのものの役割が小さくなってきています。小さな漁船でも灯台の灯に頼らずに航行できるようになりました。廃止される灯台も増えてきています。このまま灯台はすたれていき、やがて日本から灯台がなくなる日も来るのかと思われていました。

 しかし、最近になって灯台を訪れる人が増えるようになってきていると聞きます。観光資源としての期待が高まり、自治体でも廃止された灯台を保護する動きが出てきているようです。海上保安庁が募集し一般の投票によって「日本の灯台50選」選ばれていますが、そのうち関東には3つの灯台があります。犬吠埼灯台、野島埼灯台、観音埼灯台です。

 漁港では、港に近づいてきた漁船から灯台の灯が見えると漁師がホッとするそうです。灯台の灯には無線にない暖かみを感じるようです。そんなことも灯台を守ろうとする動きにつながっているようです。今でも全国に3000基以上の灯台が残されています。

 灯台の灯は街の灯と間違えないように、閃光や色光を使うなど独特な光方をしています。使われる光色は白、赤、緑などです。また、近くにある灯台は光り方がそれぞれ異なっています。例えば、犬吠埼灯台が15秒に1回白色でピカッと光り、野島埼灯台は15秒に1回白と赤が交互にピカッと光り、観音埼灯台では15秒間に1度ピカッ・ピカッと2回続けて光ります。

 このように光方を変えることで、どの灯台か分かるようになっています。それにより船の位置や進路を間違えることなく確認することができるのです。